5月7日
松本卓也『斜め論 空間の病理学』(筑摩書房、2025年)
はじめに これまで「心」について垂直方向で考えるのが一般的だったが、20世紀末から水平方向への転換が起きている。 この本では、なぜ、どのように生じたかを論じている。 目次 第一章 水平方向の精神病理学に向けてービンスワンガーについて 第二章 臨床の臨界期、政治の臨界期ー中井久夫について 第三章 「生き延び」の誕生ー上野千鶴子と信田さよ子 第四章 当事者研究の政治 第五章 「自治」する病院ーガタリ、ウリ、そしてラカン 第六章 ハイデガーを水平化するー『存在と時間』における「依存忘却」について 補論1 精神分析とオープンダイアローグ 補論2 依存症臨床の空間ー平準化に抗するために 第一章 水平方向の精神病理学に向けてービンスワンガーについて ・精神病理学者ルートウィヒ・ビンスワンガー(1881-1966)は統合失調症の発病状況を観察して空間的モチーフを提案した。 「ビンスワンガーによれば、私たちが生きる空間には、『父であるとはどういうことか?』『神の似姿である人間の理想像とは何か?」といった、自らを高みへと導くような問題提起とその自主的解決ないし決断

